
アコースティックギターの大部分は基本的に木材で作られています。
ギターに使われる木材とはどういったものがあるのでしょうか。
使われる木材によって音の傾向が変わります。
私は以前作っていたこともあり、使っているギターの材料を聞くと、
そんな贅沢な!とか、知らない材料だなぁ、こんな音するんだなぁとか、考えてしまいます。
知らない木材の方が多いですが、変わったものを見ると楽しくなります。
とりあえずここでは一般的に使われている木材を上げておきます。
木目の画像などは他サイト様ですが「木材博物館」は参考になります。
アコースティックギターのトップ材には

トップというのはボディの表板、アコースティックギターのトレードマークである穴の開いている板ですね。
そこで使われている木材を大きく分けると
- 松系
- 杉系
- 広葉樹系
- 合板系
です。
松材
松は松でもいろんな種類の松があります。
マツ科トウヒ属の常緑針葉樹を「スプルース」と呼んでいます。
- シトカスプルース
- エンゲルマンスプルース
- アディロンダックスプルース
- ジャーマンスプルース
- エゾ松
他にもあると思いますが、よく聞く材料です。
産地などによって名前が違うんですよね。
同じスプルースでも音色がすこし変わってきます。育った環境だからなのか、面白いですね。
固め、コシがある、やわらかいなど、それぞれちょっとした特徴があります。
中でもアコースティックギターで一番よくつかわれているものはシトカスプルースではないでしょうか。
弾いていると音が少しずつ変わっていくというのもスプルースの魅力です。
自分と一緒に成長している感じが味わえるかもしれません。
杉材
詳しく言うと杉とは言えない材料もあるようですが・・・同じくくりとしてしまいます。
こちらも松と同じく針葉樹です。ですが松と比べて音色は全然違います。
- レッドシダー
- 杉(屋久杉や吉野杉など)
松と比べると、色は濃い茶色をしています。
材料的にも柔らかく、軽いので音の反応も軽いし、音の立ち上がりも早いと思います。
個人的にはスプルースよりシダーのほうが好きなんですよねぇ。
広葉樹
余り多くは出回っていないと思いますが、
- マホガニー
- コア
- メイプル
などが使われます。
こういった材料が使われるときは、トップもサイドもバックも同じ材料で使われることが多いと思います。
こういうギターは、音も見た目も特徴的です。
ステージで見かけたりすると、変わったギター持ってるなぁと目が行きます。
結構好みが分かれると思いますが、オールマホガニーは見た目も音も結構好きです。
合板
廉価版にはよく使われている合板です。
基本的に化粧板が張られています。
最近は木目プリントのようなものもありますが、まあ安く出すには仕方ないですね。
合板のギターは悪いわけじゃないです。音の好みです。
安く作られる=雑に作られやすいので故障が多いかもしれませんが、材料の強度だけ考えれば一枚板の単板よりも頑丈です。
壊れないということではありませんが、接着剤でくっつけられているので木材が割れるということが少ないです。
ただ、ずっと弾いていると飽きがくるかもしれません。
そういう風に思ったのなら、もう初心者じゃないな・・・と思います。
少々値段は張りますが、是非、単板のギターにも手を伸ばしてみてほしいです。
アコースティックギターのバック、サイド材には

普通アコースティックギターのバックとサイドは同じ種類の材料を使います。
基本的に広葉樹が使われています。
- マホガニー
- ローズウッド
- メイプル
- コア
- 合板
他にもあると思いますけど、材料的にはこんな感じです。
中でも多いのががマホガニー、ローズウッドです。
マホガニー
広葉樹としてはやわらかい方です。
かなり加工もしやすいのでギターには広く使われている木材です。
ネックの材料としてもかなり優秀です。
マホガニーにも種類があり
- メキシカンマホガニー
- ホンジュラスマホガニー
- スパニッシュマホガニー
- アフリカンマホガニー
厳密にはアフリカンマホガニーはマホガニーではないらしいです。
でも今マホガニーというとアフリカンマホガニーがほとんどだと思います。
音質的にはやわらかく、ソロというよりストロークって感じだと個人的には思っています。
ローズウッド
ローズウッドも産地によって呼び方が変わってきます。
- インディアンローズウッド
- ホンジュラスローズウッド
- マダガスカルローズウッド
- ブラジリアンローズウッド
ストロークでもだいぶ高音寄りになると思います。
固めな音で、マホガニーと比べると、音の輪郭もはっきりしているのでソロでもしっかりなってくれます。
もちろんストロークでも使えます。
でも個人的にはストロークするならマホガニーが好き。
産地によって硬さが違いますし、音にも影響してきます。
有名なのはブラジリアンローズウッド、ハカランダと呼ばれています。
ハカランダはねじ曲がった木目がいい、と言っている人もいますが、昔は正目以外は捨ててたらしいです。
今考えれば捨てるなんて考えられないですね。
端材でもブリッジプレート用とかに取っておくくらいですからね。
かなり前からワシントン条約で規制されてしまい、普通に使うことができなくなってしまっています。
なので今まで在庫であったり、たまに出てくる材料を購入するしかないので材料だけでもバカ高い金額がかかります。
個人的にはインディアンローズと比べるとなんか艶があるというか、きらびやかな音に聞こえます。
コア材
かなり個性的な固い、ポコポコした音ってイメージです。
抽象的なイメージですいませんが、コアはほんとわかりやすく個性がでます。
結構好きです。
コア材は見た目も杢が出やすく、木目も独特なので、結構見た目が派手・・・だと思います。
これ一本で!というギターじゃないかもしれませんが、余裕があれば持っていると楽しいギターだろうなぁと思います。
メイプル材
音の反応が速く、丸いイメージの明るい音色かなと思います。
メイプルも結構特徴が出やすいと思います。
何より、木目がきれいで、杢が魅力的です。
結構個性的なギターになると思います。
生地着色とかすると、色がいい感じに入ってきれいなトラ杢になりますね。
個人的にトラ杢の青いものは奇抜だけど結構好きです。
合板
廉価版などで化粧板を張り付けて使われることが多いです。
合板も鳴るやつはかなりなります。
合板もいろんな種類がありますね。
最近は合板も結構材料的にありかもしれません。
サイドなどは動かないようにあえて合板にする製作者のかたもいるようです。
こういった方の使う合板は考え方も材料も廉価版のものとは違うものを使われてるんでしょうけどねぇ。
ネック材

一番触る部分ですね。
ネック材は基本的にマホガニーが使われます。
代替としてラワンなども使われます。
オールメイプルや、オールコアなどの材料は合わせてメイプルやコアなどが使われることがありますが、アコースティックギターは基本的にマホガニーが多いと思います。
指板材、ブリッジ材

指板
弦を抑えるところになるので固めな木材が使われます。
- ローズウッド
- エボニー
などが一般的かと思います。
ほかにもメイプルやココボロなどあります。
最近はウォルナットなども使われることがあるようです。
基本的に指板材に合わせてブリッジ材も同じものが使われることが多いです。
指板がエボニーなら同じくブリッジもエボニー。
指板がローズなら同じくブリッジもローズという感じです。
ブリッジ
ブリッジは弦の振動をトップに伝えるパーツになります。
材料の比重、硬さなどで音質に影響が出ます。
比重が重いほど音に芯がある、力強いイメージかなと思っています。
じゃあ重ければいいのかというわけではなく、ブレーシングや材料の固さなどとのバランスです。
そのバランスがわからないんですよねぇ・・・。
木材にもグレードがある
同じ材料でもランクがあります。
作り手目線だと、悪い木材を削っていると、ナイフを入れたときに刃が入りにくいものが多いです。
全部というわけではないですが、逆目なども多く、かなり削りにくいものが多いです。
製品にするまでも大変ですし、ミスも出やすくなります。
ランクの低い材料だと年月が経ったときに変化が大きくなりやすく、耐久性にも問題が出てくるのではと考えています。
正直、年々木材の質は悪くなっていくイメージでした。
見た目にはわかりづらいですが、木材の状況は変わっていると思います。
終わりに
他にもいろんな種類の木材がギターに使われていますし、これから種類も増えていくと思います。
とある会社は桜の木を使ったギターをつくっていますね。
変わり種ですね。
当たり前ですが、木はすぐに大きくなったり、使えるようになったりするわけではないのです。
そして木材を使うためにはしっかり乾燥させる必要があります。
木は切られてからもかなり変形します。
強制的に乾燥させるということもあるのですが、急激な変化は木材への負荷が大きく、割れてしまったり、変形が大きく、材料が無駄になってしまうこともあります。
どんな安いギターでも木で作られているものがほとんどです。
有限な資源を使っているので大事に使いたいものですね。
作っていた、ということもありますが、本当にそう思います。
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