ギターメンテナンスする際に一番初め見るべきポイントはネックの状態です。
なんてったってアコースティックギターは撥弦楽器です。
その弦を支えるネックの状態が演奏に影響するのは当然と言えます。
今回はネックの反りについて考えてみます。
アコースティックギターのネックの反りとは何か
毎度確認するほどでもないですが、何か弾きにくいと感じたときは、ネックの反りは一番にチェックすべき点です。
ネックの反りには呼び名があります。
順反り、逆反りがあります。ただ単にどっちに反っているかってだけです。
多少の反りは仕方ないのですが、反りが大きくなってくると音や演奏に影響が出てきます。
順反り
ネックが弦の張力がかかる方向にしなっている状態です。弦が指板から離れ、非常に弾きにくいです。
以前と比べて弦が押さえにくいなぁ、そう思いだしたら順ぞりしている可能性があります。
逆ぞり
ネックが弦の張力とは逆の方向にしなっている状態です。弾いたときにフレットにあたってバズが出やすいです。バズというのはしっかり押さえているはずなのに出てしまう雑音のことです。
あまりにもひどいと、音が出なくなったりもします。
なんで反りが起こるの?
弦の張力や木材の経年変化、湿度や温度の変化の影響、などが原因です。
これらが影響しあってネックが反ります。
弦の張力による影響
弦の張力が加わると張力に対してネックはしなろうとします。
常に弦が張りっぱなしだと張力によって少しずつしなりが大きくなっていきます。
つまり常にネックに大きな負荷をかけ続けるということです。
長い間しなりっぱなしにしていると、ネックにも癖がついてしまいます。
そうすると弦を外しても張力の方向にしなったままになってしまいます。
順ぞりの状態ですね。
木材のねじれによるネックの変化
木材の質によってネックに変化が起きてしまうこともあります。
これは正直どうなるかはネックに使われた木材次第ですので何とも言えません。
順反りになりやすいかもしれませんし、逆反りになるやすいかもしれません。
モノによっては修正が困難なものも出てきます。
温度湿度による影響
温度湿度による変化もネックに影響してきます。
例えば冬になると逆ぞりが目立ってきます。全部がそうなるとは限りませんけどね。
その場所の環境にもよると思いますが、気温や湿度の変化が大きい環境は楽器に大きいダメージを与えてしまうかもしれません。気を付けましょう。
ケースに入れてるから大丈夫、たまに見てあげないと大変なことになってるかもしれません。
過信は禁物です。
トラスロッドを回してネックを動かしてみよう
変形していうギターはネックを直してみよう!
何故ネックが動かせるのか
動く理屈を一つ。
アコースティックギターの構造の話になりますが、ネックの中にトラスロッドというものが埋め込まれています。
これを締めたり緩めたりすることでネック反りを調整しています。
何故動くのかはトラスロッドというものの構造を見てみるとわかります。
結構わかりやすい記事がありました。
ネックの中にトラスロッドというものが埋め込まれており、ネックに接着してあるのです。
トラスロッドのネジを締めたり緩めたりすればネックが動きます。
しかしこの調整にも限界があります。
あまりにも変形してしまったものはこれだけでは調整することができず修理が必要になります。
ネックの反りを調整する
方法としてはアコースティックギターのネックを動かすには弦を緩めて、ヘッド側かサウンドホール側についている金具を回します。
多くのものは六角レンチで回すことができます。
回す工具はギターを買うとついてくる場合が多いです。
工具をお持ちではない場合は楽器屋さんに聞くのが確実です。
規格がインチだったりミリだったりするので、いきなりご自身でホームセンターとかで買ってしまうと無駄になってしまう可能性があります。
話を戻して・・・
この金具を絞めたり緩めたりすることでネックが動きます。
ギターを弾くときは弦に張力がかかります。
すると張力によってで少し順反り側に動くので気持ち逆ぞりにしておきます。
この逆ぞりにする度合いはネックの固さにもよるので様々です。
これは弦を張って確かめるしかありません。
個人的にですが、反りはヘッド側から見ると見やすいです。
ボディを地面において立ててナット側から見ます。
上から指板のサイドの角を注意してみるとなんとなく沿っているかどうかわかります。
微妙な感じですが、私は見た目で判断するときは上の画像の青いラインの部分をみています。
1弦側も反対側ですが同様です。
他に反りを確認する方法は道具を使う方法です。
ホームセンターなどに売っているスケール(直尺)でも見ることができます。
話が逸れましたがそのスケールをもって、フレットの上に立てて測る。
すると、逆反りであればスケールの端っこが必ず浮くことになるのでカタカタとスケールが動きます。
順反りであれば、基本的にはスケールは動きません。
でもここまでするのはめんどくさいですよね。
なので基本的には見た目で反りを確認することの方が一般的です。
あとネックの反りは1弦側、6弦側が同じであるとは限りません。
むしろ違うことの方が多いです。
そういった場合、弦を張ったときに逆ぞりにならないように調整します。
基本的には6弦のほうが反りが強いことが多いように思います。
ですので弦を張った状態で、1弦が大体まっすぐになるように調整します。
しかし、両サイドの差が大きいときは修理が必要なときもあります。
ネックの反りをできるだけ回避しよう
- 高温多湿の場所を避ける。
- 弦をチューニングをした状態で長期間放置しない
これを避ければネックの反りはそこまでひどくなることはないと思います。
これでおかしくなるのであれば、木材の質が悪かったのかもしれません。
適温適湿とは
出来れば温度湿度は20度で50~60%の場所がいいと思います。
エアコンの風に当てたりすると、木材なので割れてしまったりする可能性があります。
他にも気温差によって結露してしまうなど、あまりに大きい変化はギターにはよろしくないです。
そして多少でしょうけどトラスロットも温度で変化するといわれています。
楽器にはできる限り温度湿度が安定している場所がいい場所と言えます。
弦にテンションをかけっぱなしにしない。
ギターを弾く前にははもちろんチューニングをしますよね。
この状態での張力はギターにとっては結構負荷がかかっている状態です。
ですので演奏しないときは少し緩めてあげたほうがいいです。
どのくらい緩めるのかというと、大体ですがチューニングしたテンションからペグを5回回すくらいでしょうか。ペグにもよるかもしれませんが
ネックへのテンションが全くない状態でもあまりよくないと考えています。
最後に
ネックの反りくらいであれば自分で調整することが可能です。
ちょっと面倒ですけど、せっかく買った楽器です。大事に使いたいですね!
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